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映画「ラスト、コーション」に隠された日系ハーフ

2008/01/28 13:00

 

中国映画「ラスト、コーション」が日本でも1月24日に封切られました。
日本では、そんなに話題を呼んでないようですが、中国人社会では、この映画は話題の映画です。

中国国内ではカットされたベッドシーンに対する議論もさることながら、日本の特務を肯定する映画だというような政治的な議論もあります。日本では、この映画を恋愛映画としてしか受け止めてない人が多いようで、私個人としては大変残念に思います。


この映画の原作は、張愛玲という中国社会では有名な作家の「色・戒」という作品です。そして、彼女の作品と彼女自身の人生、さらに彼女の作品の元になったスパイ事件が微妙に織り込まれているようです。


張愛玲は、下関条約(馬関条約)に伊藤博文と共に調印した大清帝国欽差頭等全権大臣李鴻章の曾孫に当たります。もともと裕福な家庭に生まれたのですが、彼女の人生は決して幸せとは言えません。幼少期、実母は彼女を残してヨーロッパに行ってしまいます。そして後妻のもとで、弟と一緒に育ちます。ロンドン大学に行く予定でしたが、戦争で断念し香港大学に行きます。しかし、卒業間近になって今度は香港が日本軍に占領された為に上海へ戻ります。不幸はそれだけでは終わりません。1944年胡藍成と結婚し、1947年に離婚します。まさに、汪偽政府と運命を共にしたような結婚です。結婚した胡藍成は、彼が書いた文章を汪精衛に認められ、1940年汪偽政府成立後,汪偽政府宣伝部常務副部長をつとめていたのです。当然日本の敗戦、汪偽政府解散と共に彼も香港から日本へ逃げてきます。


彼女の作品「色・戒」の元になったというスパイ事件があります。彼女はこの事件を、耳にしてこの小説を書いた訳です。


汪精衛政権は、当時上海の極司菲爾路(現在の万航渡路)76号に、スパイ工作本部を設立。主任丁黙村は原軍統(国民党特務組織)第三所所長、売国奴の李士群と日本側に寝返って、抗日を邪魔しておりました。


中統上海潜行組織の責任者、陳果夫の甥にあたる陳宝華(馬編)は、彼の弱点である好色をついて、「美人計」を考え、彼の抹殺を決定します。中統は、時機が来たのを見て暗殺にかかります。


初回、鄭苹如は丁黙村を彼女の家に招待。鄭家付近に狙撃者を張り込ませます。彼の乗用車がもうすぐ鄭家に着く時、彼は考えを変え、帰ってしまいます。


第2回、1939年12月21日丁黙村は滬西の友達のところで、昼食をとっておりました。彼は鄭苹如に電話して誘い出し夕方まで一緒に過ごします。丁は虹口へ行かなければいけないと言い、鄭は南京道に行かなければならないといいます。一緒に車に乗り、静安道、戈登路(現在の江寧路)のシベリア皮革製品店まで来ると、鄭苹如が急に毛皮の外套が買いたいと言い出します。彼も彼女と一緒に車を降り、一緒に外套を選びます。しかし、その時彼は気づきます。ガラスの窓の外に、2人の不審な男がこちらをじろじろ見ているのに。丁は情勢が怪しいことに気づくと、オーバーコートのポケットから札束を取りだし、ガラスケースの上に置き「自分で選んで。俺は先に帰る。」と言い残し、外に駆け出します。


店の外を徘徊していた中統特務は、丁黙村が、外套も選ばずに飛び出して来るとは思いもせず、一瞬躊躇します。丁の運転手は、彼が狂走して来るのを見つけ、エンジンをかけ、ドアを開けます。銃声が鳴った時には、彼はすでに車内の中に入り込んでいました。銃弾は、防弾車に撃ち込まれますが、彼には全く傷は有りませんでした。


彼女は、自分一人で彼を暗殺する事を考えます。拳銃を隠し持ち。しかし、丁もすでに彼女を捕らえる網を張っておりました。翌々日、鄭苹如は、車で76号行き、丁黙村を尋ねます。しかし、そこですぐに丁の側近林之江に拘留されます。李士群の妻、叶吉卿はすぐにそのことを知り、沈耕梅を行かせて尋問させます。丁黙村は、阻止することができません。鄭苹如は彼女と中統の関係を否認。しかし、丁を殺そうとしたことは、彼にもてあそばれたからだと認めます。丁黙村は鄭苹如が、自分の暗殺に関係したことを恨みます。しかし、彼女の美しさに未練があり、彼は彼女を死地送ることはできませんでした。


しかし、丁黙村の妻、趙慧敏は密かに林之江を捜し出します。そうして、鄭苹如は、秘密裏に憶定盤路三十七号の「平和救国軍」第4路司令部内に移されます。このことは、丁黙村も李士群も知りませんでした。1940年2月ある月の光の無い晩、林之江は、囚人室から丁黙村が呼んでいると鄭苹如を連れだし、車で歪んだ道を通り、滬西中山路の空き地に着きます。


鄭苹如は、3発の銃弾に倒れます。当時わずか23歳。





鄭苹如という女性は、浙江蘭渓の人で、1918年生まれ。
父は、鄭鉞、別名英伯。彼は、若いころに日本の法政大学に留学、孫中山と革命に奔走。同盟会に加入し国民党の元老でありました。彼は東京で日本旧名家の娘木村花子と知り合います。花子は中国革命に非常に同情し、結婚後花子は夫と中国で暮らし、名を鄭華君と改名。彼らは二男三女をもうけ、鄭苹如は次女。彼女は幼い頃から聡明で、人の気持ちをよく察し、母親から流暢な日本語を学んでいました。


抗戦が始まってから、鄭苹如は抗日救国運動に参加。上海陥落後、彼女自身の卓越した条件(社会的人間関係と日本語能力)によって、抗日の地下工作を行います。中統に加入当時わずか19歳。


なぜ、わずか19歳で、容貌も美しい彼女が、スパイ活動に参加したのでしょう。
私の憶測ですが、彼女は自分が中国人である事を証明したかったのではなでしょうか。自分の中に流れる日本人の血の為に。


戦争当時、日本と中国の狭間のなかで、もがき苦しんだ人々がいたことを、戦地でお互いに殺し合った人々以外にも、このような人々がいたことをこの映画は教えてくれているように思います。


カテゴリ: 世界から  > 中国・台湾    フォルダ: 中国映画

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コメント(6)

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2008/01/29 08:23

Commented by - さん

こんにちは。初めまして。

このブログへの感想ではありませんが、貴殿のプロフィールにある

私たちの親を変えることができないように、中国が隣国であることは永遠に変わらない事実です。反感をもって、ただ悪口ばかりをいってもなにも始まりません。よく相手を理解し、どのようにつきあっていくのかを我々は真剣に考えていかなくてはならないのではないでしょうか。

について、日本は中国の悪口など、何も言ってなかったのに、従軍慰安婦だとか南京虐殺だとかを持ち出して、日本攻撃を始めたのは中国だと思っています。
慰安婦、虐殺は、歴史的にも疑問があり、検証もしないまま中国に都合がよいことのみを取り上げての攻撃です。

よい付き合いをしたいのなら、中国が慎むべきだと感じますが、その点はいかがお考えですか。
中国が一方的な日本批判をしなければ、日本人も中国を嫌いにならないと感じます。

 
 

2008/01/29 13:52

Commented by shinoper さん

始めまして。コメントありがとうございます。

返信させて頂く前に、少し前置きをさせていただきたいと思います。
私は、サラリーマンで天津に駐在しております。
日中のいろいろな政治的な論争をネットで見ます。日本側のも見ますし、中国側のも見ます。しかし、多くのコメントは、単なる感情論で子供のけんかです。

そんなのは、ほっとくとしても、日本の報道には、少し誇張した感じを受けます。確かに間違いを報道しているとは思いませんが、中国の悪い所をさらけ出した方が、日本人の受けがいいのか、ちょっと極端な報道姿勢を感じます。

私のブログは、もっと冷静に、日中関係を考えるべきではないだろうか。というメッセージにとどめたいと思います。

その筋の専門でもありませんし、慰安婦問題や南京虐殺に白黒をつける知識も持ち合わせておりません。

という前提で、ご返答させていただきますが、

>日本は中国の悪口など、何も言ってなかったのに、従軍慰安婦だとか南京虐殺だとかを持ち出して、日本攻撃を始めたのは中国だと思っています。

私は、どちらが先に始めようがそんなことはどうでもいいと思います。
これから先、私たち日本人と中国人にとって、有益かどうか。という事を考えて行く方が、いいのではないですかね。

どこの世界にも性格のゆがんだ人はいます。そんな人を相手にしていても時間がもったいないというのが私の感想です。

 
 

2008/02/01 10:50

Commented by - さん

To shinoperさん

今回の農薬入り餃子も、日本側報道の誇張でしょうか。

 
 

2008/02/01 12:59

Commented by shinoper さん

農薬が混入された餃子の件について記事をかいております。
よかったら読んでみてください。

 
 

2008/02/07 18:49

Commented by 光砂一 さん

今日は。
再び、貴殿のコメントを拝見させて頂きました。さすがスマートに対応されています。見事かと思います。
このイザ!で是非、筆を振るって下さい。非常に楽しみなブログになります。間違いなくイザ!全体の評価がアップします。イザ!はそれだけの魅力と柔軟性と包容性と創造性と知性を備えていると信じてやみません。イザ!の記者のレベルもいろいろ、参加者もいろいろですがだからこそ我々は本物、真実を求めているのではないかと感じています。

 
 

2008/02/12 13:34

Commented by shinoper さん

私もこのイザのブログには、これまでと違った印象を受けております。
新しい試みとして私も参加させていただき、何かしらお役に立てれば、幸いです。

本来であれば、光さんのブログも拝見させていただいて、コメントなど差し上げるのが筋なのだと思うのですが、なにぶん仕事をしながらブログを書くのは、結構な労力で、ブログを書くのが精一杯の状況です。

時間ができましたら、そのうち拝見させていただきたいと思います。
ご無礼ご容赦ください。

 
 
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2008/03/22 15:50

ラスト・コーション を観ました。 [My Favorite Things]

 

チケットを持っており、明日で終わりらしいので、雨の中、早起きして鑑賞!

 

2008/03/03 23:15

極限状態でのエロスを問う「ラスト、コーション」〜ヒロイン、タン・ウェイは最後に艶っぽくなる [万歳!映画パラダイス〜たまプラほ…]

 

 そのラブシーンの激しさだけが喧伝されている感のある「ラスト、コーション」(アン・リー監督)をようやく見ることができた。Last caution(最後の警告) とてっきり思っていたが、Lust,caution(肉欲、警告)な…

 

2008/02/25 00:31

「ラスト、コーション」情熱をもって生きるとは、陳腐なことなのだ。 [soramove]

 

「ラスト、コーション」★★★★ トニー・レオン、タン・ウェィ主演 アン・リー監督、アメリカ 中国 、2007年、158分 日本軍占領下の1942年の上海、 大学生だった主人公は、演劇仲間と抗日運動に 加わり…